小林さんの 2000年・鯖海道マラニック完走記


平成12年5月20日、10時45分、新横浜発の新幹線に乗り京都着が13時25分、13時30分京都発の鯖街道特別バスにギリギリ間に合う予定でした。 バスは、3台編成ですが乗るはずの1号車が20分遅れで到着。 ほぼ14時に京都八条口を出発しました。 バスの待ち時間では、「どうも、久しぶり・・・。」、「この間はどうも・・・・」等の挨拶が聞かれ、ウルトラの世間は意外と狭いようです。 途中バスガイドさんが、色々説明してくれるのですが皆は上の空で仮眠したり、ビールを飲んだりしていました。 関西では、バスの編隊のときに先頭が3号車(3台編成の場合)で最後が1号車になるそうです。 これは、先頭が対向車とすれ違うとき、後に何台いるか判るように配慮されているそうです。 どうでも良いことですが、ガイドさんの説明で覚えているのはこれだけです。 ガイドさん、すみません名前も忘れました。 部屋割りが、バスで配られ隣に座っているどう見てもランナーには見えない山地さんと同室でした。 もう一人は、奈良から来た堂本さんで3人部屋でした。 山地さんは、外見通り行動もまじめなランナーとはかけ離れていて、毎年 レース前夜にホテルの8階のフィリピン・パブでフィリピン女性のマリヤちゃんとドンチャン騒ぎするのが楽しみだそうです。 同室の正反対、まじめランナーの堂本さんもパブに付き合わされたそうですが、キンキキッズの堂本光の父親と偽ったら、結構もてたと上機嫌でした。 ちなみに、私は母国、日本の女性2人に惹かれ鈴木さんの部屋で日本酒を、「レース前に、いいのかなあ〜〜」と思いながらガブガブ飲んでいました。 どうも、ウルトラの人はフルの人と違って苦しむ前(レース前)に、思い残しの無いよう先に楽しんでしまう習性があるようです。
 
レースについて、出場経験のある鈴木さんのアドバイス通り、ペットボトル用ウェストバッグ、手袋、補助食品、更に代えのTシャツ、靴下を用意したところ。 豪傑 山地氏が現れ、「水はいらん、川の水を飲め。 補助食もいらん、畑のトマトや野イチゴを食え。 手袋? 何じゃそれは!」これまた、強気の発言。 でも、念のために全部携帯しました。
さて、レースですがホテルから歩いて5分程のフィッシャーマンズ・ワーフで荷物を預け、洗濯紐に掛かっているナンバーを自分で探し出し準備完了です。 本当に手作りの大会です。 
 
レースは翌日 21日(日)、商店街の鯖街道始点がスタートで、日曜の朝とあって応援はいたってまばらでした。 が、いくつかの商店が、わざわざ店を明けて声援してくれました。 感謝! 商店街の鯖街道起点の石碑をまたぎ鈴木さん、宮守さんと一緒に走り出し、ちょっとペースは速めかなと思いながら鈴木さんを信じて追走。 どうも、昨夜から宮守さんは体調が悪いらしく2時間位で鈴木さんと休憩を取った様子。山地さんはスタートと同時に先の方に消えていってしまいました。 その後、井戸水の有るエイドで堂本さんと会い、2時間位 40Kmの中間地点まで併走し5時間位だったので、なんと大胆にもこの時点で完走を確信しました。 お握り二つとTシャツ、靴下を履き替え20分休憩し、トラックで来た宮守さんから頑張っての掛け声、そして鬼神の追い上げをしてきた鈴木さんと一緒に完走を目指し再出発。 ちょっと前後しますが、山中のコースは本当の山道で、登りでは木を掴み、下りではぬかるみで滑ってに転ばぬよう歩く感じで、走ることが困難なコースが約3分の一位だったと思います。 ただ、この山道は僕の子供心を呼び戻し、子供の頃はたいして腕白でもなかったのに、腕白に戻ったつもりで心臓バクバクも気にせずガンガン登り、気持ちの良いことこの上なし。 これが祟ったみたいで30Km地点位から、斜面で負担の掛かりすぎた左腿の筋が下りで痛み出しました。 でも、50Km位まではまだ元気があって平気でしたが、それを過ぎるとだんだんランナーに話し掛ける余裕がなくなって、 さっきまでは、登りで抜き返された女性に「負けず嫌いですか?」なんて冗談も言えたのに。 
 
約60Km地点の最終エイドで、また偶然会った堂本さんから 「ここからは、全て下りなので時間内完走はいけるらしいぞ」と言われ、多分9時間位だったので完走したも同然と錯覚。  ここからが、月並みですがレースが始まったようです。 下りが疲れた腿を直撃 中間地点での確信が
自分への不信になり更に後悔となっていき、私は西部ライオンズの松坂と違うことを確信しました。
 残り、8Kmで鈴木さん抜いていった鈴木さんのしっかりした走りに関心、流石、達人!
最後の鴨川土手の長いこと長いこと(実際は6Km)、最後は一人で歌を歌いながら気を紛らわし、完走後のうまいビールを飲むことだけ考えて走った(這った?)。 ゴール前の商店街で、「お帰りなさい」の掛け声に思わずジーンでした。 まあ、なんとか時間内 11時間17分18秒でゴールできました。 ゴール後のビールは最高でしたが、あまり長い間我慢するのは体によくないので今度機会があっらレース中に飲もうと思います。 ちなみに、豪傑 山地さんは10時間以内で完走したそうです。 やはり、本物の豪傑!
 
大会の感想は、フルと違い全くピリピリせず本当に和気藹々したアット・ホームそのものでした。
レース後一週間が経ち、体調も回復してくると(本当は、レース中よりレース後の一週間の方がきつかった) なんだか耳元で「四万十川はどうだ? サロマもいいぞ!」等の悪魔の囁きが聞こえてくるような感じがします。 これは、ハマル一歩手前でしょうか? 
 
最後までご拝読ありがとうございました。   
 
小林 誠治
 

鯖海道のレリーフ(泉町商店街にて)


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