陸上競技などの伴走について

全国身体障害者スポーツ大会競技規則集 より競走競技、視覚障害の部分だけ引用

第3条 競走競技


1.すべての距離の競走において、クラウチングスタートはしなくても良く、また、スターティングブロックを使用しなくても良い。
2.聴覚、平行、音声・言語障害者(以下「聴覚」という)部門のスタートでは、すべての距離において「位置について」の言葉で、肘を深く曲げてピストルを上方にあげ、「用意」の言葉で肘を伸ばしてピストルを発射する。また、スターターの位置は競技者の前方で、しかもクラウチングスタートをする競技者を含む競技では出来るだけ低い姿勢とする。

3.歩行者用補助杖や車椅子などは身体障害者の一部であり、歩行者用補助杖や車輪の接地面がスタート線やコースを示す左側のラインに触れてはならない。

4.車椅子や電動車椅子使用者の順位は、胴体(トルソー)ではなく前輪の車軸が決勝戦に到達したことで決める。また、地面をけって走る者は前向きでも後ろ向きでもトルソーの到達を持って判定する。

5.視覚障害者(以下「視覚」という)部門の60m競走は次のように行う。
 (1)コース幅は10mとする。
 (2)伴走者を認めた場合を除き、決勝線の後方から、役員が音源及び声によって選手を誘導するものとし、
   音源はハンドマイクに収納した音響またはそれに類似するものとする。音源は位置についたときから鳴らし続け、 ゴールとともに停止させ、選手に停止するよう指示する。
 (3)競技役員が安全上やむなく声や選手の身体にふれるなどによって方向を指示した場合でも競技は成立するものとする。

6.視覚部門の視力0,および光覚、手動、指数(0.01未満)の競走競技では、60m競走も含め、すべての競技において次の範囲で伴走者を認める。
 (1)一人とする。
 (2)競技者の前方に出ない。
 (3)手をつなぐ、50cm以内の紐を使うなどによってコースの指示をする。
 (4)声をかけてコースの指示をする。

7.視覚部門の伴走者のついた競走競技では、セパレートコースを使用する場合には、スタート線を延長して、一人の選手に一つ外のコースを含む2コースが割り当てられる。

8..全ての競走競技において、毛糸などを張り、決勝線の位置を知らせるものとする。ただし、写真判定の場合は車椅子のレースには使用しない。

9.電動車椅子による競走競技の風力は測定はしない。

10.写真判定装置を使用する場合は、選手は主催者が用意した腰番号を付ける。車椅子の場合は、番号が見やすいところに付ける。


全国身体障害者スポーツ大会競技規則集・解説書 より競走競技、視覚障害の部分だけ引用
第2節   競 走 競 技
1.陸連規則で,400mまでの競走では,スターティング・ブロックを使ってクラウチング・スタートを用いなければならないし,用意のとき,両手が 地面についていなければならないことになっている。
しかし,この規定は,身体障害を考え必ずしもそうでなくてもよいことにする。

2.車椅子や電動車椅子の使用者のスタートは,前にある車輪の接地面が,スタート線にふれてはならない。
ゴールは,前輪の車軸(前輪が2つあれば先に到達した前輪)で判断する。ただし,車椅子使用者で,身体的理由で腰をかけたまま足で地面をけって走る場合(車輪などを手でまわしてもよい)には,陸連の規則通りとし,前向きであれ,後向きであれゴールは前輪で判定せず胴体の到達とする。

3.車椅子使用者がオープンコースでスタートする場合には,3コースに4名程度並べるのが適当である。

4.車椅子使用者が,競走中に車椅子から転落した場合には,他の競技者の妨害にならず,しかも誰の力も借りることなくその車椅子にのって競技を続ければ,失格とせず競技を成立させる。ただし,車椅子から転落したときに,車椅子のみが決勝線に到達してしまった場合には,競技は成立しない。
また,肢体(3)の区分の者および直走路では転倒などによってコースを侵害した場合でも,できるだけ救済する。

5.聴覚のスタートでは,スターターは台にたつことなく,できるかぎり低い姿勢をとるようにする。他のゼスチャー等はしない。


身体障害者のための陸上競技規則の解説より
(日本身体障害者スポーツ協会)
2 競技種目
2)競  走
 30m、60m、100m、200m、400m、800mについては、一般的にはセパレート・レーンで行なわれる。スタート方法は次の順で行なわれる。
 a 出発係がレーンごとに呼び出すのでこれに答え、自分のレーンを確認する。
 b スタートはクラウチング・スタートでもスタンディング・スタートでもよく、クラウチングスタートの場合は、スターティング・ブロックに足を合わせる。スターティング・ブロックは身スポ大会規則では、使用については自由である。また、両上肢の切断者に身体を支えるために特別なパックの使用が許されている。
 c 足合わせが終わったら後方で待機し、スターターの合図で集合線に立つ、アナウンサーの紹介に答える。
 d スターターの「位置について」の声でスターティング・ブロックに足を入れスタートラインに着く。車椅子は前輪がスタートライソに触れないように着く。
 e 「用意」で静かに腰をあげ静止した姿勢をとり、号砲でスタートする。身体が動いているとスターターは「待って、立って」で一度集合線に下げる。
 800mについては、曲走路を出るところからセバレートが解除されオープン・レーンとなる。セパレートレーンの出口には標識が立っている。
 視覚障害者の視力0と光覚・手動・指数の障害区分の者は、伴走を付けることができる。
この場合一人に2レーソが与えられる。演技者と伴走者はどちらのレーンに入ってもよい。
スタート・ラインは内側のレーンのスタート・ラインの延長線が外側のスタート・ラインとなる。伴走者は、50cm以内の紐等により、手などを結び走る。伴走者は視力障害者を誘導することが役割であるので、競技者を有利にするため身体を引いたり、押したりしてはならない。また後続の競技者の追い抜きの際妨害してはならない。伴走者の違反行為であっても、競技者が失格となる。長い距離の場合、伴走者は交代できる。この場合はフィニッシュ・ライン手前50m直線の範囲で引継ぎをする。
 フィニッシュは、トルソーがフィニッシュ・ラインのスタート・ラインに近い端の垂直面に到達したときである。
 車椅子の場合は、前輪の車軸が到達したときがフィニッシュとなる。車椅子でも地面を足で蹴って走る場合は、トルソーで判定する。伴走者はフィニッシュのとき、競技者より後方に位置しなければならない。
 60mの視力0と光覚・手動・指数の障害区分の者は音によって誘導する競技方法をとる。
この場合はレーン全部を使用し、一人ずつ走り、記録によって順位を決める。
 予め音を鳴らし、方向を競技者に確認させ、スタートする。
 スターティング・ブロックは競技者の選択により使用は自由である。
 音は走り終わるまで鳴らす。フィニッシュの際安全に静止させ、待機場所に誘導する。コースの途中には競技者の安全を確保するため、係員が両側に立ち、外に出そうになった場合声をかけコースにもどす。
 危険な場合は静止する。それ以外は声はできるだけかけない。
 競技場所(コース)周囲に衝突の危険の無いように配慮する。視覚と聴覚の重複障害の場合は、伴走者を付け走る。この場合音はいらない。
 競技者が転倒し、レーソの外にはみ出した場合、また杖等がレーンの外にはみ出した場合他の競技者を妨害していないか走行距離が短縮されていない場合に限り救済する。
 1500m以上の距離については、レーンがオープンとなるので、スタートラインに並ぶ人数を1500mの場合12人、5000m以上は27人までとする。車椅子は12人、視覚障害者は10人とする。
 長距離の場合13人以上を1組で行なう場合は、ウェーブ(2段)スタートとする。


8)道路競技(身スポ大会では実施していない)
a マラソン
 42,195mの長距離を走るマラソンはテレビの中継放送も多くなり、見る人に多くのドラマと感動を与えるスポーツとして、人気のあるイベントとなってきた。
 最近は、障害者のマラソン大会(ロードレースも含めて)が各地で大変多く開催されるようになった。国際障害者年を契機として、国民の障害者理解を深める手段として、自治体や報道機関の後押しのもとで、一度に多くの人々に障害者の懸命に走る姿を見てもらう機会としてはこれに勝るものはない。
 初めての専椅子マラソンは1974年アメリカで行なわれた第1回アメリカ車椅子マラソン大会である。この時、ボブ・ホープが2:54’5”で優勝している。ボブ選手は1975年のポストンマラソソに唯一の車椅子ランナーとして参加している。
 国内では、1977年のホノルルマラソンに日本から4名が参加、その後日航ポプラマラソンや篠山マラソンに車椅子ランナーの参加が認められるようになった。
1981年国際障害者年の記念事業として大分県が外国ラソナーも招待し、大分国際車いすマラソン大会を開催した。
この時はハーフマラソンで参加選手117名、タイムは1:01’46”でオーストラリアのゲオルグ・フロイントが優勝している。
この大分国際車いすマラソン大会は、1983年の第3回大会からフルマラソンを取り入れ本格的にマラソン大会となり、国際ストークマンデビル競技連盟の公認競技会と認定され、車椅子のマラソン競技会としては、国際的な大会となった。
以後この大会は14回を重ね、参加選手が500名の規模となった。
この間、国民の障害者理解の深まりのなかで全国でマラソン大会やロードレースが多く開催されるようになり、我が国の車椅子競技の競技力の向上に貢献してきた。

a) マラソンコース
  マラソソはマラトン戦争でギリシャ軍がペルシャに勝ったことをアテネまで一人の兵士 が走ってもたらしたという伝説をもとに、近代オリンピックのイベントに採用され、アテネ大会では37km程の距離であった。
 第4回のロソドン大会では王室の関係でコースが設 定され、このコースが42,195mあった。
 正式には第8回のパリ大会でこの42,195mをマラソンの距離としてさだめたと言われている。
  この距離の計測は日本陸上競技連盟競技規則165条の道路競技の規定に基づき、長距離競走路の計測の細則により計測される。

d)盲人マラソンでは伴走が許される、全コース一人でも翌、10k、20k、30kの関門で交代する事も認められる。
伴走者は番号布でどの競技者の伴走であるかを明示する。
50cm以内の紐等で競技者とつなぎコースの指示を行う。
交代の引継は関門から20mのエリア内で行う。

6 国際大会の主な特別ルール

2)伴走視覚障害者でB1クラスの競技者の競走では伴走が許される。
400以上競走では2名の伴走者が認められ、フィニッシュラインの手前直線走路の50mの範囲内で交代する。
伴走者と競技者は与えられた2レーンのどちらを走っても良い。
競技者の全コースの安全についての責任を負う。
競技者を有利にするため引いたり、身体を押したりする事は許されない。
伴走者の他の競技者への妨害や不正行為はその競技者の妨害となり失格する事もある。


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